指定された特性インピーダンス、速度係数、減衰定数を持つ、 一般的な伝送線路の「SPICE」モデルを生成します。 同軸ケーブルや平衡ケーブル以外でも、 誘電体損失や他の回路との結合が無視できれば、 プリント基板の配線等、広い範囲の伝送線路に適用することができます。
このモデルでは、 導体抵抗と導体内部インダクタンスの周波数特性を、 R101, R102, R103, .., L102, L103, .. のネットワークで近似していますので、 SPICE のような時間軸のシミュレータで、 伝送線路の周波数特性を考慮した解析ができます。 外部インダクタンスとキャパシタンスは、 「L-C モデル使用」を選択すると C100, L100 で表現され、 「T モデル使用」を選択した場合は、 C100, L100 の代わりに、 SPICE の「T」(Lossless Transmission Lines)モデルを使います。
この種の等価回路は共振回路ですから、 SPICE の数値計算誤差には極めて敏感で、 「trapezoidal ringing」(SPICE が使う数値積分法による誤差から生ずるリンギング) とよばれる独特のリンギングを生じますが、 「T」モデルを使うと、計算時間の増加と引き替えに、 この問題を避けることができます。 なお、SPICE を使わずに、 「Backward Euler Method」(後退オイラー法)によるプログラムを自作すれば、 さらに良好な結果が得られます。
「減衰と位相歪のみ」を選択すると、 C100, L100 ないしは SPICE の「T」モデルを省略した、 導体抵抗と内部インダクタンスのみの等価回路を生成しますので、 長いケーブル等で、減衰が大きくて反射の影響が無視できる場合とか、 インピーダンスマッチングがとれていて、反射が少ない場合は、 このモデルで伝送特性だけを計算すると、 少ない計算量で、リンギングのない波形が得られます。
モデルの精度を決める素子数を制御するための方法は2つあって、 その1つが「モデルの精度」ですが、これは、 このモデルで使われる抵抗の比、
R101/R102 = R102/R103 = R103/R104 = .. = R109/R108 = k (一定)
モデルの精度を決めるもう1つの方法が「伝送波形の上限周波数」ですが、 これはこのモデルが使える上限周波数になります。 内部的には、 R101 をここで指定された周波数に於ける 表皮抵抗(surface resistance)程度に選定していますので、
伝送波形の上限周波数 = 0.35 / 波形の立ち上がり時間 / 1e6 (MHz)
「導体の導電率」を省略した場合は、 「軟銅」の値(5.80e7 G/m)を使います。 他の材料を使うときは、後記のような値を設定してください。
すべてのパラメータは伝送線路の長さに比例しますので、 1 m あたりの値がわかれば充分なのですが、 計算する周波数とか、パルスの立ち上がり時間によって、 等価回路の1セクションの長さを変える必要がありますから、 計算の便宜のために、「ケーブルの長さ」を指定できるようにしてあります。
このモデルで過渡応答を計算する場合は、 計算時間の刻み Dt(sec) を
Dt = L102 / R101